題名:デ・ドローイング
作者:山本寛之
・作品の説明など
蛍光ペーパー、鉛筆、水性マーカー、壁に4メートル四方のインスタレーション作品
・羽根のある何かを描きました。(山本寛之)
展覧会場の奥の4メートル四方の大きな壁一面に、おびただしい数の首の無い人間の化け物が羽根を付けて、群がつて飛んでいます。
その光景は現代の地獄絵図を思わせます。
特に素晴らしいのは、首の無い人間の化け物です。
2枚の黄色に輝く羽根はどれもいっぱいに広げることが出来ない片翼です。
その不完全な生き物の姿は、私たち現代人の偏った欲望を現して出色の出来栄えです。
グロテスクな美しさが冴えてシュールです!!!
全体の壁面の構成がもう一つですから、この生き物を生かし切れていません。
この不完全な生き物は空を飛ぶより、いっそのこと、全て落下する姿にしたらと思います。
それで、画面を逆さまにして見ると、いっせいに舞い落ちる姿が圧倒的で自然に見えました。
黄色の花びらが散って行く姿にも見えて華麗です!!
このシュール生き物はより劇的な場面こそ、より生きてきます。
あくまでも僕の好みですが…
…抽象画の創始者カンディンスキーは、以前は普通の風景画をベーシックにペインテングした絵を描いていました。
ある日、散歩からアトリエに帰った彼は、そこに具象でない不思議な絵があるのにびっくりしました。
なんとそれは、自分の風景画がたまたま逆さまに置かれていたのでした。
それから、彼は自分の絵の優れた抽象性に気付き、抽象画を描き始め創始者になりました…(藤澤伸太郎)
頭の無い人間 羽根を生やし群がり飛んで行く
いっせいに舞い落ちる黄色い花びら
逆流する欲望は逆さまに見つかった抽象画
2018年2月10日
題名:回帰の匂い
作者:山下雅稔
・多摩美術大学/情報デザイン学科2年
・ジャンル:オルファクトリーアート(嗅覚アート)
・作品を持ち上げ、被り、葉の存在を視覚と嗅覚で感じてもらうことで作品となります。
この匂いは私が回帰すると感じる匂いです。
みなさんの回帰の匂いは何でしょうか。(山下雅稔)
「匂い」をテーマにした作品です。
床に奇妙な形の宇宙服のような頭の被り物が置いてあります。
それを、頭からすっぽり被ると、目の前には沢山の葉っぱが現れ、葉っぱの匂いに包まれます。
頭を肌色の半球体の中に入れるとお腹の中に入ったような気分になります。面白いです!!
又、これを被った様子を外から見るとユーモラスで楽しそうです。
見ている人も被りたくなります→参加したくなります。
傑作です!!
何かの用途の製品を組み合わせて被り物にした発想は不思議な形で親しみやすいです。
その被り物の裏側に葉っぱをいっぱいくっ付けたデザインもいいです。
ぐるりと葉っぱの宇宙です。
とても軽いヘルメットですから、子供でも気軽に被れます。
他の人の幼い時の記憶に繋がる「匂い」も作品にして欲しかったです。
3点以上在ると楽しかったです。
…赤ん坊の頃、よく2階の窓際に寝かされていました。窓からは大きな樹木が何本も見えました。
樹脂の匂いを嗅ぐとその時の出来事が思い出されます…2階で突然ハイハイし始めた赤ん坊の僕は、2階から階段を転がり落ちました。
ひどい怪我をした僕を抱いて父は空を飛ぶように走って病院に連れて行きました。幸い手当てが早くて傷はほとんど残りませんでした。
樹脂の匂いは、僕が三十代の時亡くなった父への切ない回帰です…(藤澤伸太郎)
樹木の匂い立ち籠めて 幼子の記憶が蘇る 転がり落ちる階段大きく揺れる
父に抱かれて飛んだ遠い空
2018年1月26日
⇒ 榊原 (08/16)