Page: 1/1   
村木友美 2012年作品
題名:終着点にはまだ着かない。
作者:村木友美

・走ったり 転んだり 迷ったり 振り返ったり…
 そこには何もなかった。(文、村木友美)
・インスタレーション、オブジェ、写真、絵画、動画(映像)


自分が長い間使っていたメモ帳をオブジェにした作品です。

メモ帳には、文章、図、写真、切抜き、などなど、彼女
が生きてきた分厚い記録が残されていました。
その生きてきた記録のメモ帳を紺色の染料のなかに浸けて、
それを、取り出して時間をかけて乾かして、もう二度とめくれない読
めないメモ帳にしました。

そのよれよれになったページはくっ付き、開いたページの文字は
滲んで読めません。
彼女は、何年もの記録を無にしてしまいました。
かわりに、海を思わせる美しいオブジェにしました。

極めてプライベートなメモ帳にフィクションとしてのドラマを加えて
デフォルメ(変形)したことで、メモ帳との距離感が生まれました。

そのドラマは、彼女が自分の過去の記録を海底に沈めて…、
それを拾い上げて、何日もかけて乾かして変形させた…と、
私は勝手に物語をイメージしました。

読むことの出来なくなったメモ帳ですが、見る人が物語をイメー
ジする時間と空間を造りました。
素晴らしい発想と表現です。いつもながら、彼女の大胆な行動
に驚き感動しています。
次も楽しみです!(文、藤澤)







| oiai | 20:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
野田晴太 2012年作品
題名:熊 / 父親
作者:野田晴太

・この作品は、特に深い意味はありません。
・自分が気持ち良く描く事を一番に考えて制作しました。
・作品のモチーフは、それぞれ熊と父親です。
・有機的で生命感のある作品になったと思います。
 (文、野田晴太)
・多摩美術大学絵画学科版画専攻




「熊」
熊が寝そべっている姿が描かれている油絵です。
よく見ると熊とその大地が等高線で出来た立体の地図のようです。
高いところは、真っ赤になってまるで火山活動をしている大地のよう
です。真っ赤な溶岩が曲線を描いて流れています。
腹のところには、深い深いブラックホールが見えます。

造り物の熊の絵ですが、まがまがしい火山活動の生命力と
深い死の淵を感じさせる表現力が素晴らしいです。






「父親」
父親の絵もだまし絵の方法で描かれています。
よく見ると、頭部は果物の皮で出来ています。
顔は、熟れた果物のようにも、魚の顔のようにも見え、その皮膚が
艶々(つやつや)と生々しく描かれています。おまけに、口の中に
釣り針が見えて、ぞっとします。








2点とも、生命と死が刺激的に描かれて、啓示的な物
語性が感じられます。大変優れた絵画です。

これからも、彼の絵画的世界を見るのが楽しみです(文、藤澤)
| oiai | 21:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

Profile

Category

Entry

Comment

Archives

Search

Link

Mobile

qrcode

Recommend